始まりは15年前のことだった。その日、私はいつものように“パトロール”をしていた。 廃墟探索を趣味にしている私は、まだ誰も知らない廃墟を開拓するのが好きで、今も暇を見つけては車で各地を巡回している。既にネット等で公開されている廃墟を訪れるのとは異なり、何が飛び出すのか分からないドキドキ感がたまらないのだ。 計画が頓挫した別荘地に残された廃墟 その日は、岐阜県内の人影もまばらな観光地の近くに、廃れた道の入口を発見した。建物が廃れると、そこに至る道も廃れる。つまり、廃れた道の先には、廃墟が待っていることが多い。 私が発見した道路は、舗装されていたものの、路面に落ち葉が堆積し、穴だらけだった。左右から伸びた草木を車で掻き分けながら進んでいくと、大きめの枝が車体を擦る“キー”という音が聞こえてきた。あまり聞きたい音ではないが、車の傷は廃墟探索を趣味にする者にとっては勲章のようなものだ。 しばらく進