安倍晋三首相は原子力発電所のトップセールスマンである。セールストークは「安全」。5月、2011年の東京電力福島第1原発事故後初の原子力協定にアラブ首長国連邦(UAE)、トルコと署名。サウジアラビアとも協議開始で合意した。5月29日にはインドのシン首相と会談し、原子力協定に向けた交渉再開で合意した。6月にはチェコなど東欧4カ国を訪問するが、ここでも原発輸出が主要テーマになる。 原子力協定は、原子力関連技術の利用を平和目的に限ることを2国間で約束するもので、この締結が原発輸出の前提になる。 トルコのエルドアン首相との首脳会談で原発新設プロジェクトへの優先交渉権を日本に与えるとした共同宣言に署名した。福島第1原発事故後、日本企業が主導する原発受注が確定するのは初めて。三菱重工業と仏アレバによる企業連合が請け負う。 トルコの原発建設計画は、黒海沿岸のシノップに4基を新設する。1基の建設費は5000