深夜の新宿で、妥協なき鮨の逸品を食べる。 2019.06.22 連載 : 酒場の入口、酒場の出口。 酒場には入口と出口がある。まずはその店に行かないと気がすまない店が入口。飲んで食べても、最後に寄って帰りたい店が酒場の出口。新宿に住むジャズミュージシャンの菊地成孔さんが、新宿で夜通し飲みたいときの酒場の入口と出口とは。 満腹まで食っては、酒は飲めない。 シャンパンかワインをある程度ガッツリ飲みたい日に、ビストロやレストランに直行すると、もうそこで完結してしまう。菓子やチーズや葉巻まで出され、ソーテルヌもいってしまう。だいたい終電の1時間前に。もう動けない。帰るしかない。ひとりで帰ろうと、恋人や家族と帰ろうと、帰るは帰るだ。その後、温かい団欒があろうと、激しい愛の時間があろうと、慣れ親しんだ孤独があろうと、帰るは帰るであって、意味は変わらない。 それならそれでも良いけれども、移動して夜通し飲