前半20分過ぎだっただろうか、攻撃の起点となった米本がハーフウェイライン手前より前進を始めた。この労をいとわぬ知的な若者のここぞと言う時の前進の判断は、常に的確だ。センターサークル後方やや右寄りから左方向に斜行した距離は40mくらいだったろうか、その米本に平山がいかにも彼らしい柔らかな落とし。うまくフリーでボールを受けた米本は急停止後右斜めに方向を変えながら1度ボールを持ち出し、浮かさぬようによく腰を落として、ミドルシュートを放つ。反対側のゴール裏で見ていた私からは、ボールが枠に飛ぶのはわかったが、距離も相当だし、GK川島を破るのは難しいと思った。 けれども、ボールは川島の手をはじきネットを揺らした。周辺のFC東京サポータの方々も、入るとまでは思わなかったのだろう、一拍おいて歓喜の絶叫とあいなった。 距離が遠かったせいもあり、最初は川島の判断ミスによる得点かと思った。でも私は間違えていた。