私たちは不安と疑惑のなかで日を送っていましたが、そこへ一旦姿を見せなくなっていた八路軍がまた現れました。「上党戦役」で閻錫山の軍隊を撃破したので、戻ってきたのでした。 私たちのいる南溝の日本軍陣地の前は、河を隔てて高台になっていました。その高台と河の間を自動車道路が走っているのです。 八路軍は道路を見下ろす高台の上まで出てきました。だんだんその数が増えていって、道路は通じなくなり、南溝は孤島になってしまいました。 だが、八路軍は急に攻めてくる様子はありません。日本軍さえ手を出さなければ、衝突はほとんど起こりません。 夜になると、八路軍の兵士たちは高台を下り、道路を越え、河原までいっぱい出てきました。 私は小隊長でしたから、その巡察をきびしくしていました。ある晩私は一つの分哨陣地の望楼を訪れていました。そのとき、河向こうから声が聞こえてきました。 「第3中隊のみなさん、こちらは日本人民解放連