身代金の要求期限だった「72時間」が過ぎても声明を出さず、人質の安否情報も示さない「イスラム国」。何を狙い、どう行動しようとしているのか。 「そもそも72時間という時間設定に、深い意味はなかったのではないか」。国際テロ対策に詳しい公共政策調査会の板橋功・第1研究室長はこうみる。 会社経営の湯川遥菜(はるな)さん(42)は昨年8月に拘束され、フリージャーナリストの後藤健二さん(47)は10月から消息を絶っていた。現地で数少ない日本人を確保し、安倍晋三首相の中東訪問という最も効果的なタイミングで、自らの存在感を示せるカードを切る――。これが「イスラム国」の狙いだったとみる。 テロ組織との身代金交渉は半年から1年をかけ、金額を下げながら裏交渉して妥結するのが一般的という。また、国連報告書によると、「イスラム国」が誘拐で得る身代金は、推定で年3500万〜4500万ドル(約41億〜53億円)。