私の生まれた町はど田舎だった。 半分鉄鋼業と半分農業でもってるような田舎の町。 中学生は自転車で中学校に通い、頭にはきっちりヘルメットをかぶっていた。 小学生はもれなく袖で鼻水を拭いていた。 そんな田舎の町に、ある日モスバーガーができた。 「てりやきバーガーがおいしい」と学校で大騒ぎになった。 そしてこのモスバーガー、このど田舎の町にあってなんと閉店時間が深夜2時だった。 コンビニも11時に閉まる田舎の町で、2時まで輝くのモスバーガーのネオン。 煌々とかがやく電灯に、緑の制服の店員さん。 これは「夜は寝るもの」と思っていた田舎の若者たちにとって驚異的な出来事で、そのモスバーガー、あっという間に町中の「ちょっと悪い感じに背伸びしたい若者」のたまり場&おしゃれスポットになった。 週末の夜ともなると、爆音のバイクがモスバーガーの前を走り、おしゃれした女の子たちが、キャッキャと店前のガードレールに