RESEARCH 不規則な収納が生む自由 前島一博国立遺伝学研究所 構造遺伝学研究センター 私たちヒトの体は約60兆個の細胞からなり、その細胞1つ1つに全長2メートルのDNAが入っています。こんなに長いDNAが、どのように収納され使われているのでしょうか。細胞が分裂する際にできる染色体のDNAはヒストンの芯に巻き付いた直径11nm(ナノメートル=1mの10億分の1)のヌクレオソーム構造をとっています。それが規則正しく折り畳まれて直径30nmのクロマチン線維となり、さらに集まるという階層構造を形成していると考えられてきました。ところが、国立遺伝学研究所の前島一博さんが詳細に調べたところ、定説のようなクロマチン線維は存在せず、より柔軟でダイナミックな姿が浮かび上がってきました。教科書に書かれてきた図は違うのではないか。こんな基本を問う研究です。