有史以来、人類にとってなくてはならないものとして使われてきた道具・ナイフ。そのナイフ作りに命を賭ける漢がいる。漢の名は相田義人。海上保安官、山岳救助隊員、自衛隊員、猟師、冒険家など、自然の中で生活、救難活動を行うプロから、一般のアウトドアフリークまで幅広いファンをもつ。海外からも高い評価を受けている一流のナイフ職人に、仕事に賭ける思いを聞いた。 「ナイフは、人間が火の次に手に入れた道具である」。これは僕の師匠であるボブ・ラブレス(注1)の言葉なんですが、ナイフは有史以来、人類が生きていく上でなくてはならない道具として使われてきたわけです。時代によってさまざまな人びとに使われてきたナイフですが、太古の人が使ったものと、現在僕たちが手にしているものとを比べてみても、形状は大して変わってないんですね。今後も人類が存続していく限り、形状は大きく変わらないと思っています。 ただ鋼材だけは進化し続けて