1. はじめに 上場準備企業にとってストック・オプションの導入は、上場前に取り組むべき課題の中でも特に重要性の高いものであり、以下のメリットがある。 ・付与対象者は株価の上昇により値上がり益を享受できるため、企業価値向上による株価上昇を動機づける効果 ・十分な現金報酬を支給することができないベンチャー企業にとって、有能な人材確保のための報酬としての効果 ・オーナー経営者や役職員等による安定株主対策としての効果 一方で、ストック・オプションを導入するにあたり、上場時の潜在株式比率水準が主幹事証券会社から問題視されることが多く、上場前にどの程度ストック・オプションを発行できるのかが問題となる。また、ストック・オプションに関する税務の取扱いも複雑である。本稿では、我が国のストック・オプション制度の変遷を振り返り、その過程での潜在株式に関する規制を確認した上で、上場準備企業がストック・オプションを