三八地域の食文化として根付く食用菊「阿房宮」の収穫が本格化している。秋晴れとなった31日、八戸市尻内町の田中敬子さん(86)方では刈り取りを開始。高品質に仕上がり、「香りも色も良くできた」と笑みを浮かべる。 田中さんは60年以上にわたり食用菊を栽培しており、今季は約10アールに作付け。暑さのためか害虫が多く、防除に気を配った。作業は変色を招く霜などに留意しながら、3週間程度続く。 一面に広がる黄色い花々を縫うように、田中さんは鎌で刈り取りを進めた。花は蒸して乾燥させ、干し菊として市場に出荷する。 近年は農家の高齢化で生産減に直面しているというが、「多くの人に支えてもらいながら育てている。八戸の味を大切にしていきたい」と丁寧に収穫作業に励んでいた。