結ばれるその日まで相手の顔を知らず、知らないまま、「あの家の娘さんは美人らしい」なんて話を聞いて、その噂に恋をして、文を出す。恋の歌を贈り、贈られ、想いを育んで、やっと許しが出ると夜に彼女の家に行く。そうして結ばれ、翌朝、彼は彼女の顔を知る。 百人一首という感情 作者: 最果タヒ出版社/メーカー: リトル・モア発売日: 2018/11/24メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る あ、この感じ、なんか覚えがある。と思った。 10代の時、本当の名前も知らなければ相手の顔もわからない、ただの文章だけのやり取りで、一方的に好きになってしまっていたことってわりとあった。いわゆるそれが「ネト恋」ってやつなんだけど、今じゃあSNSをきっかけに誰と付き合う誰と結婚するなんていうのは珍しいことではなくなった。Twitterで知り合った人としか付き合ったことがない女の子と以前会ったことが