恐怖が人の心を活性化し、判断力を高めることを、京都大学霊長類研究所の正高信男(まさたか のぶお)教授らが実験で突き止めた。これは、恐怖感情を抱くことは認知情報処理を妨げるという、この1世紀の間信じられてきた心理学の定説を覆し、ダーウィンの主張を支持する知見といえる。心理学でもダーウィンの洞察は正しかった。ダーウィンが活躍した英王立協会刊行のRoyal Society Open Science11月5日付のオンライン版で発表した。 写真とグラフ. 上は実験に使った刺激の例、左が赤いヘビ、右が青い花。下は、ヘビと花の写真への赤、緑、青の色ごとの反応時間の比較。左が成人、右が子ども。いずれもヘビの写真の時のほうが、花よりも色の回答に要した時間が短かった(いずれも提供:正高信男・京都大学教授) 夏目漱石の小説「草枕」の冒頭に「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人