『21世紀の楕円幻想論——その日暮らしの哲学』(ミシマ社)の刊行を記念して、著者の平川克美さんと能楽師の安田登さんのトークイベントが行われました。著書の中で会社をたたみ、借金返済のために家を売り、全財産を失ったことを告白された平川さんと安田さんにある共通点が明らかに。少し過激ですが、思わず納得してしまう、おふたりの独自の視点が詰まった貨幣論を一部お届けします。 お金はもらうもの、もらって生きることは修行 安田:先日、アーツカウンシル東京の助成で「イナンナの冥界下り」のヨーロッパ公演をしたんです。海外公演では国際交流基金から飛行機代などの助成金をもらうんですけど、落ちちゃったんですよ。落ちちゃうと十数人分の飛行機代、宿泊代、日当がないわけで、どうしょうってなって。 じゃあ、クラウドファンディングがいいんじゃないかって言われたんだけど、それは嫌で。なぜかって言うと、クラウドファンディングってだ