【台北=田中靖人】台湾の世界保健機関(WHO)年次総会への出席問題が再燃している。22日から開催される総会への招待状が6日までに届いておらず、出席手続きの締め切りが8日に迫る。中国の圧力が背景にあるとみられ、蔡英文政権は招待状なしでも、代表団をジュネーブに派遣し、加盟国にロビー活動を行う方針だ。 中国は、台湾は中国の一部だとする「一つの中国」原則の受け入れが条件だと主張。台湾はこの原則を認める中国国民党の馬英九前政権下で、2009年から「中華台北」の名称でオブザーバー参加が認められていた。だが、蔡氏率いる民主進歩党はこの原則を認めておらず、蔡政権の発足が予定されていた昨年5月には、招待状の送達が締め切り直前にずれ込んだ経緯がある。WHOのマーガレット・チャン(陳馮富珍)事務局長が香港出身で、中国の支援で当選したことも影響しているとみられる。