東邦亜鉛安中製錬所の排煙、廃液によるもので、原因物質はカドミウム。付近の田畑で稲や桑の立ち枯れ、カイコの生育不良、碓氷川の魚の大量死などが主な被害である。 1986年に、東邦亜鉛が責任を認め、付近農民らに4億5000万円を賠償する形で和解が成立。同時に公害防止協定も締結された。 1審で企業側の故意責任を認めたことが特異な事件である。 1937年に設立された日本亜鉛製錬株式会社は、安中町(現安中市)に安中製錬所を設置。6月に操業を開始したところ、操業当日(翌日説あり)から公害が発生した。当時の被害は主にカイコの生育不良であったが、カイコは育て方など他の要因でも生育不良になることがあるため、当初は公害被害だとは認識されなかった。 当初、日本亜鉛製錬は、設置する工場は高度鋼という、鉄兜に使う特殊な合金を製造する工場をつくると住民に説明したが、操業2日目に高度鋼の看板を取り外し、「亜鉛」につけかえ