知的障害のある人たちの「働く場」をどう確保していくかは、社会全体が取り組まなければならない喫緊の課題だ。とりわけ、最大の雇用の受け皿となるべき民間の企業セクターにとっては重い宿題と言える。厚生労働省によると、2009年6月現在、法定雇用率1.8%を義務付けられている従業員数56人以上の民間企業で働く知的障害者は5万6835人。漸増傾向にあるとはいえ、約22万人と推計される18歳以上の在宅の知的障害者の4人に1人程度しか企業で働いていない計算になる。 今回は、「知的障害のある人をどのように雇い入れ、戦力化していくか」というテーマについて、2つの事例から考える。 1つは、川崎市高津区に本社を置くチョークメーカーの日本理化学工業。ベストセラー『日本でいちばん大切にしたい会社』(坂本光司著、あさ出版)で紹介され、鳩山由紀夫前首相が昨年視察に訪れたことで一躍有名になった中小企業だ。今から50年前に知