世界共通語としてつくられた「エスペラント」を使い、戦前・戦時期に欧米やアジアの人びとと文通していた大量の手紙が群馬県藤岡市の民家で見つかり、その内容を和訳、書籍化した「1930年代を生きたエスペランチストたち」(ホリゾント出版)が刊行された。筆者でエスペラントの普及活動に取り組む堀泰雄さん(80)=前橋市=は「各地に暮らす庶民の視点で当時の世界情勢が語られ、非常に興味深い」と話す。(小松田健一) エスペラント ポーランドの眼科医、ルドビコ・ザメンホフ(1859〜1917年)が考案した人工言語。ユダヤ系で差別、迫害に苦しんだザメンホフは「簡便に理解できる言語があれば争いはなくなる」と国際共通語を提唱し、1887年に発表した。「エスペラント」はザメンホフのペンネーム。文字はアルファベットを基本とした28文字で、「パスポート」は「パスポルタ」など欧州言語をもとにした単語が多い。公用語として採用す