涼宮ハルヒは遍在する。いつの時代にも。誰の心にも。11月29日にシリーズ最新巻となる『涼宮ハルヒの劇場』が発売されると告知されるや、ニュースとなって全世界を駆け巡ったことがその証拠だ。「涼宮ハルヒ」シリーズはただのライトノベルではないのか。なにがこれほどまでに世界を盛り上げ続けているのか。 谷川流が第8回スニーカー大賞に応募して〈大賞〉を獲得した小説『涼宮ハルヒの憂鬱』が刊行されたのは2003年6月のこと。『トリニティ・ブラッド』のシリーズで知られる吉田直の『ジェノサイド・エンジェル:叛逆の神々』、安井健太郎の『ラグナロク』に続く大賞受賞作といった話題性はあったが、バトルアクションなりファンタジーといったライトノベルで主流のカテゴリーとは少し違った内容で、どこまで人気が出るかは未知数だった。 何しろひねくれていた。語り手となるキョンと呼ばれる高校生の男子が、入学した日の自己紹介で突拍子もな