高速船買い自前で運航 姫路港から二十五分。高速船「まうら」は家島諸島の中心地、家島の真浦港に白い船体を滑り込ませた。 桟橋のすぐ向かい、ビルの玄関に垂れ幕がかかっている。「祝 定期航路就航」。事情を知らなければ何の変哲もない文言だが、自尊心をかけて立ち上がった島びとの"八百日戦争"が国を動かした記念碑だ。 実力行使 話は三年前にさかのぼる。 姫路―家島間(約十五キロ)で旅客船を運航する家島汽船のダイヤは当時一日五往復。便数は二十数年間変わらず、島への最終便は午後六時台に終わる。通勤、通学に不便をかこち、姫路市内に家を買って二重生活する島民も少なくなかった。 真浦区会(自治会)は「人口五千人の島に一日五便はあまりに少ない」と増便、最終便の繰り下げを再三申し入れた。しかし、汽船側は「赤字続き。航路維持で手いっぱい」の一点張り。頑として増便に応じない。見切りをつけた区会は一億六千万円で高速船(定