チャールズ・ライト・ミルズという社会学者がいた。彼が書いた『社会学的想像力』という著作は、国際社会学会の会員たちが選んだ「20世紀の重要な社会学の著作」の第2位にランクインされるほどよく知られている。 他方で、ポール・ラザースフェルドという社会学者もいる。マスコミュニケーションの効果研究の第一人者として知られた人だ。実はミルズはラザースフェルドの調査を手伝ったことがあるのだが、この二人のスタンスは大きく異なる。そもそも研究のスタイルが全く違うのだ。ラザースフェルドは社会調査に基づく厳密な研究を志向する一方、ミルズはより大まかに米国社会全体を分析しょうとする。 ある論文を読んでいたら、この二人の仮想的な対話が紹介されていた。ぼくとしてはなかなか面白かったので訳出してみたい。 私のお気に入りの妄想の一つは、ミルズとラザースフェルドとの対話で、前者が後者に『社会学的想像力』の最初の一文を読んで聞