・ まえがき ・ PENTAXに限らず、古い交換レンズには、これまで治癒不能とされていた二つの恐ろしい病が存在します。その二大難病とは「バルサム切れ」と「黄変」です。この病にかかったら、その交換レンズの市場価値は無に等しいというぐらいの病で、恐れとあきらめをもって語られる交換レンズの「死病」でした。 ところで、「バルサム切れ」というのは、貼り合せレンズの接着面が曇る現象を指します。昔、レンズの接着には天然樹脂のバルサムを用いていたことによる命名のようです。 次に、「黄変」というのは、文字通りレンズが黄色く着色する現象です。レンズの成分であるガラスというのは結晶した固体ではなく、粘度が極めて高い液体なのだそうです。このため、成分の経年による変質により、長い時間を経過すると着色することはある程度避けられないことなのだそうですが、この「黄変」というのはそのような軽微なものではなく、カラーバランス