みなさんは鶴見騒擾事件をご存じだろうか、歴史の教科書には出てこない。私もこの作品を読むまでは知らなかった。 大正14年12月21日、東電東京火力発電所の工事請負をめぐるトラブルから、二つに分かれたとび職や土木作業員たちが組織的に興した闘いである。いわば喧嘩なのだが、その規模はもう戦争だった。 双方合わせて2000人超、ツルハシ・スコップは言うに及ばず、竹槍、拳銃、猟銃、カービン銃、ダイナマイトなどで戦ったのだ。午後に始まった闘いは、深夜にまで続き、市民を巻き込んだ暗夜の市街戦になったという。 鎮圧側は警官隊1000人、憲兵隊50人、騎馬憲兵20騎、特別警官隊(通称新撰組)50人。特別警官隊は全員が拳銃を携行していた。ちなみに、銃器を携行した警官隊の部隊出動は、この時が史上初である。 稼業人も渡世人も博徒もあまり明確な線引きができない近代以前の土木業界が近代の企業になるために通り過ぎねばなら
![「闘いの構図(上・下)」(青山光二)新潮文庫 昭和59年 | 読書記録゛(どくしょきろぐ)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/242615e2696f52b78ea9ed34d737922fd170a465/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fpds.exblog.jp%2Fpds%2F1%2F200402%2F20%2F84%2Fa0003784_23912.jpg)