参院選の結果、与党とその補完勢力が両院の3分の2を占めた。投票率は54・70%。戦後4番目の低さである。 全体的な流れとしては、「熱狂なきファシズム」がさらに深まってしまったといえるのではないだろうか。 「熱狂なきファシズム」とは、第二次安倍政権成立以降の日本の政治状況を指し示す、僕の造語である。ファシズムといえばある種の熱狂が伴うようなイメージが強いが、安倍政権下で進む全体主義に熱狂はない。むしろ主権者の無関心としらけムードの中で、じわじわと少しずつ、人々が気づかぬうちに、低温火傷(やけど)のように進行する。「デモクラシーの緩慢な自殺」と言ってもよい。 自民党改憲草案はデモクラシーを廃止しようという提案だ 安倍政権が権力を強めていく現象を、なぜ「全体主義」であり「デモクラシーの自殺」といえるのか。その最大の根拠は、自民党が2012年4月に発表した改憲草案である。個人の基本的人権や言論の自
![参院選で深化した「熱狂なきファシズム」 - 想田和弘|論座アーカイブ](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/69508c049f1b352db263c954e10930812a34bcf0/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwebronza.asahi.com%2FS2010%2Fupload%2F2016071400004_1.jpg)