ロシア社会は「停滞してなどいない」 ──西洋が衰退している指標の一つとして乳児死亡率を挙げています。この指標は何を示すものなのですか。 私は1970年から1974年にかけてロシアの乳児死亡率が上昇しているのを見つけ、その後、ソ連が乳児死亡率の統計を公表しなくなったので、1976年に出した自著『最後の転落』で、ソ連にもはや未来はないという判断を下しました。 ですから、この乳児死亡率という指標にそれなりの価値があることは実証済みです。いまこの乳児死亡率を見ると、米国は西側諸国のすべてに遅れをとっています。最も先進的なのは北欧諸国と日本ですが、ロシアも進んでいます。 フランスはロシアよりも前にいますが、乳児死亡率が再上昇しかねない動揺のようなものが見受けられます。いずれにせよフランスはベラルーシに遅れをとっているのです。 これが意味するのは、要するに、ロシアについて語られている事柄がしばしば間違
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