若きジョブズは尊敬するSonyの盛田昭夫に会いに来た。盛田がウォークマンで人類の音楽生活を変えたのを参考に、Macを限りなく小型化して電話と融合すれば、音楽のみならず人類の生活すべてを変えられると考えたからだ。盛田はそんなジョブズが気に入り、夜は河豚料理へ招待したのだった。 ■「俺だって普通の人間だよ!」と叫んだジョブズ 「調理に失敗すると、毒で死にます」 盛田はそう言ってからかったが、ジョブズは笑ってふぐ刺しを頬張った。傍らで河豚をおっかなびっくり食べていたジョブズの腹心エリオットは、この時のふたりの会話をよく覚えている。 盛田とジョブズ、ふたりの年齢は三〇歳以上離れていたが、瓜二つの価値観を持っていた。 ふたりとも、じぶんの欲しいプロダクトを創るという信念を持っていた。じぶんの創るものを愛し、完璧に仕上げなければならない。そのためには会社自体を、じぶんの作品として磨き上げる必要がある─
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