去る10月5日、スティーブ・ジョブズが亡くなって6年が経過した。彼の足跡を讃え、全7回に渡ってジョブズが音楽に残した影響を振り返ってゆく。第2回は、iPodの開発で培われたジョブズの最強の経営術だ。尊敬するSonyの盛田昭夫から学び取ったモノづくりのための組織づくりを、彼はいかにしてApple流の経営術へと進化させていったのであろうか。 ■尊敬するSonyを超えろ ジョブズは、リサーチをあまり信じない。消費者が気づきもしなかった何かを実現するのが、革命的なモノづくりだと信じていた。 「T型フォードが登場するまでは、自動車がほしいか消費者に尋ねても『いや、もっと速い馬がほしい』としか言わなかったろう」 というヘンリー・フォードの言葉をよく引用していた。だが、iPodの開発リーダーとなった若きトニー・ファデルのリサーチを止めることはなかった。かつてそれでも大失敗をやらかしたことがあるからだ。