エジプト大統領府(右奥)前に押し寄せた人々=カイロ、古谷祐伸撮影 【カイロ=古谷祐伸、前川浩之】「我々が政権を倒した」。エジプトの反政府デモの拠点、タハリール広場では、大統領辞任の報が伝わると集まっていた人たちが一斉に喜びの声を上げた。金曜礼拝にあわせた3回目の金曜デモ「勝利の金曜日」で、この日は約15キロ離れた大統領府前にもデモが広がっていた。 「逃げようとしてもそうはいかない。捕まえて資産を没収しないといけない」。無職のアブドル・アジズさん(26)は広場でそう叫んだ。AP通信によると、野党勢力の指導者として期待されているエルバラダイ国際原子力機関(IAEA)前事務局長は「人生で最良の日だ」と述べた。 大統領府前には数万人が集まっていた。医師タレク・ワヒドさん(26)は、広場を飛び出して仲間と一緒にやってきた。ワヒドさんらを動かしたのは、権力の座に居座り続けようとする大統領への憤り