ジャグラー(曲芸師)が空中に投げあげた受話器が,哺乳瓶,そこから飛び出したミルク,さいころ,骨へと次々にその形を変化させ,最後の骨がパラシュートに乗ってジャグラーの手元に受話器となって戻ってきます.輪になって,外側を向いて並んだ複数のジャグラーが,それぞれその場でおなじ動きを繰り返している様子は,どこか現実のものではないような,実体感のない映像のようにも見えます. ジャグラーと空中に投げられる物体は立体でできており,大きな円筒形のフレームの周囲に等間隔でとりつけられ,暗い空間を高速で回転しています.連続写真やパラパラマンガのように,ひと続きの動きを分割して,それぞれの瞬間として作られた立体が,点滅するストロボ・ライトが照らされるとアニメーションと同様に動きのない物体に時間が与えられ,実在しない「動いている」光景に見えるのです. ICCから制作委嘱されたこの作品は,バーサミアンにとって重要な