19世紀にはカトリック教会だったという建物は、おごそかな雰囲気を残したまま、かなりユニークなオフィスへと改装されている。祭壇に机が並べられていたり、その真下にある司祭の小部屋を会議室に使ったり。高い場所にある回廊からは水泳の飛び込み板が延びており、エリックが立つとスタッフが「飛び込め~っ」と声をかける。どこまでが本気で、どこまでが冗談なのかわからない空間は、エリック・ケッセルスという広告界の奇才をそのまま表しているかのようだ。 岡: すごい空間だね。これって日本でいうと神社仏閣をオフィスにするようなもんでしょう。日本人にはなかなかできないよ。バチが当たりそう。 スーツを脱ぎたくなる仕事場 エリック(以下E): ここは1849年のカトリック教会で、修道院も付帯していたんですよね。 岡: 中に入ると、メインの聖堂の横に別のオフィス空間がつながっているんだね。こっちはモダンですっきりしている。