第30回 “断熱屋の親父”が造った無冷房・無暖房の家 地球環境問題評論家 船瀬 俊介氏 2006年8月24日 山本順三さんは、自らを“断熱屋の親父”と呼ぶ(写真1)。 1937年、富山県生れ。もう69歳のはずだが、まったくそうは見えない。髪は黒々。陽気で、いつも不敵な笑顔を浮かべている。お会いしてから、もう10年ほどになる。『この本を読んでから建てよう』(三一書房)の著者として紹介された。小柄な体で会釈して照れ気味に「断熱屋のオヤジです」とポツリ。 『この本~』を読んで、この親父さんはタダ者ではないと感服した。本は、まず気象学の詳述から始まる。次に生理学。こんな建築書籍は、後にも、先にも初めてだ。「クリモグラフが読めます」とサラリ。これは縦軸(気温)、横軸(湿度)の線グラフ。彼は形状を見ただけで、地球上のどの国かピタリ当てる。しかし、これは実に道理にかなっている。建築は、気象、す