常に話題作を提供する手腕は見事としか言いようがないが、劇場版の『モテキ』にしろ、この監督の作品は映画になるとどうしても粗が目立つ。画面は美術、情報量、役者の演技と、非常に密度は高いが、どうしてかのっぺりした印象だ。教室を舞台に3人を配置するならば、サイコーは想いを寄せる亜豆を後ろの席から盗み見るべきだろうし、シュージンは更にその後ろの席から盗み見ていて欲しい。サイコーと亜豆の交感の場に、校舎の階段を選んだのであれば、その上り下りには意味があって欲しい。映画にしたメリットはどこにあるのだろう。しいて挙げれば”音”か。ペン先の奏でる音の迫力とサカナクションの劇伴のマッチングは素直にかっこいい。目玉であろうVFSなどを駆使した原稿執筆シーンの演出に関してはまぁ特に何もないです。 役者について。期待していた佐藤健、神木隆之介、染谷将太の3人の演技に関しては多少のわざとらしさを感じてしまった(特に健
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