「東日本大震災における天災と人災」というお題で日本赤十字看護学会というところで講演をすることになった。 抄録の提出を求められたので、次のようなことを書いた。 「いつもの話」ではあるけれど、本番では「いつもの話」じゃないことを話すので、ご容赦ください。 東日本大震災から1年を経過して、これが「天災」であるより以上に「人災」であるという印象を私たちは抱いている。 「天災」は自然現象であり、私たちにはそれを防ぐ力がない。「人災」は人間の力で統御できるし、しなければならない災禍である。 その災禍の広がりを防げなかった。 「人災」を用意したのは私たちの社会を深く蝕んでいる「無根拠な楽観」である。「晴天型の世界観」と言ってもよい。 私たちはある「枠組み」の中で「ゲーム」をしている。賭けられているものは権力とか財貨とか文化資本とか、いずれにせよ「価値あるもの」である。そのやりとりのゲーム、誰かが勝てば誰