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ブックマーク / blog.tatsuru.com (21)

  • 2015年の年頭予言 (内田樹の研究室)

    あけましておめでとうございます。 年末には「十大ニュース」、年頭には「今年の予測」をすることにしている(ような気がする)。ときどき忘れているかもしれないが、今年はやります。 今年の日はどうなるのか。 「いいこと」はたぶん何も起こらない。 「悪いこと」はたくさん起こる。 だから、私たちが願うべきは、「悪いこと」がもたらす災禍を最少化することである。 平田オリザさんから大晦日に届いたメールにこう書いてあった。 「私は大学の卒業生たちには、『日は滅びつつあるが、今回の滅びに関しては、できる限り他国に迷惑をかけずに滅んで欲しい』と毎年伝えています。来年一年が、少しでも豊かな後退戦になるように祈るばかりです。」 これから私たちが長期にわたる後退戦を戦うことになるという見通しを私は平田さんはじめ多くの友人たちと共有している。 私たちの国はいま「滅びる」方向に向かっている。 国が滅びることまでは望ん

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    spoichi 2015/01/01
    逃げ切り宣言と受け取られかねない。
  • 半分あきらめて生きる - 内田樹の研究室

    半分あきらめて生きる 「半分あきらめて生きる」という不思議なお題を頂いた。「あるがままの自己を肯定し、受け入れるためには、上手にあきらめることも必要なのでは。閉塞感漂う現代社会でどう生きていけばいいのか」という寄稿依頼の趣旨が付されていた。 『児童心理』という媒体からのご依頼であるから、不適切な(過大な)自己評価をしている子供たちの自己評価を下方修正させることの効用と、そのための実践的な手順についてのお訊ねなのであろうと思った。 なぜ私にそのような原稿発注があったかというと、ずいぶん前に学校教育について論じた中で、「教師のたいせつな仕事のひとつは子供たちの過大な自己評価を適正なレベルにまで下方修正することにある」と書いたことがあるからである。これはたしかにほんとうの話で、「宇宙飛行士になる」とか「アイドルになる」とか「サッカー選手になる」とかいうことを「将来の夢」として小学生が卒業文集に書

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    spoichi 2014/05/15
    「なんか困ったことになったら前もって備えてた奴がなんとかするだろw」という思想について。
  • 法治から人治へ - 内田樹の研究室

    安倍政権は集団的自衛権の行使について、行使の範囲を明確にしない方向をあきらかにした。 「行使を容認できるケースを『放置すれば日の安全に重大な影響が及ぶ場合』と定義し、これが自衛権を発動できる『わが国を防衛するための必要最小限度の範囲』に入ると新たに解釈する。『重大な影響』『必要最小限度』の基準が何を指すかは解釈変更後の政策判断や法整備に委ねる。 今の政府解釈は、武力行使が許される必要最小限度の範囲を『わが国が攻撃(侵害)された場合に限られる』と明示し、個別的自衛権だけ認めている。政府原案は、これに集団的自衛権の一部が含まれると新たに解釈するものだ。政府は解釈変更後に個別の法律で行使の範囲を示し、法で縛ることで行使は限定されると説明する方針。だが、憲法上の解釈が『安全に重大な影響』と曖昧では、時の政府の判断で範囲が際限なく広がる可能性があり、歯止めはなくなる。 政府原案では、憲法九条の下で

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    spoichi 2014/04/18
    かつてヒ総統が著書の中で述べてけつかったように、大衆には、というより人間にはより強き者に跪きたい欲求が常にある。その対象は強い政治家だったり強大な軍事力だったり巨大な原子炉だったりいろいろ。
  • 改憲案の「新しさ」 - 内田樹の研究室

    ある媒体に長い改憲論を寄稿した。 一般の目に触れることのあまりなさそうな媒体なので、ここに採録しておく。 改憲案の「新しさ」 改憲が政治日程に上ってきている。7月の参院選で自民党が大勝すれば、今秋以降には国内での合意形成めざした議論が始まるだろう。自民党や改憲勢力がいったいこの改定を通じて「何を」実現しようとしているのか、それをこの機会に確認しておきたいと思う。 自民党の改憲草案については、さまざまな批判がすでになされている。個別的な条文ひとつひとつについての適否は専門家による議論に委ねて、私としてはこの改憲案に伏流している「新しいものの見方」についてだけ考えてみたいと思う。護憲派の論客の多くは、改憲案の「復古調」に違和感や嫌悪を覚えているようだが、私はむしろこの改憲案は「新しい」という印象を受けた。その「新しさ」とは何かについて書きたい。 まず、今日のみならずグローバルなスケールで起き

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    spoichi 2013/05/08
    現政権の中にも尾崎秀実が紛れ込んでるってことか。
  • 東北論 震災・原発事故 (内田樹の研究室)

    ご近所の灘校の文化祭で東北研究のパネル発表をするということで、インタビューを受けた。なかなか白熱したインタビューで、「東北とは」という切り口でものを考えたことがあまりなかったので、新鮮だった。 インタビュアーは高校生。 ―まず先生は震災当時はどこにいらっしゃったのですか。 3月11日はスキーに信州に行った帰りで、電車が止まって、直江津で足止めをらってました。よく事情が分からなくて、夜中も余震が凄かったし。阪神大震災以来だから恐怖心を感じました。翌日電車が動いて1日遅れでこっちに帰ってきました。 ―先生は阪神淡路大震災も経験なさってるわけですよね。その時と比べてみてどうですか。 何が違うかと言うと、天変地異のレベルの話じゃなく、それに対処するときの政治と社会の問題だと思います。今回の対応の悪さって、桁外れなんじゃないかな。日の社会全体としての復興に対する、支援に対する態度っていうのがひど

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    spoichi 2013/04/22
    阪神との比較で言うならより広範囲に渡る飽和攻撃だったのだから組織の劣化と言えるかは微妙。行政・自衛隊・米軍の動きは素早かった。/白河以北一山云々が死語でなかったのはその通り。
  • 陸軍というキャリアパスについて - 内田樹の研究室

    寺子屋ゼミでは1936年の二・二六事件と現在の「空気」の近さが話題になった。 統制派と皇道派の対立の賭け金は何だったのか? なにが蜂起した青年将校たちの「政治的正しさ」を主観的には根拠づけていたのか? 資料的なことは私は知らないが、大筋はわかる。 二・二六はテロリズムだから、皇道派の「求めたもの」が浪漫的に脚色されすぎて、見えにくくなっているものがある。 このテロ事件にはもっとリアルなものが伏流していた。 ポストである。 その前年に相沢事件というものがあった。 統制派の首魁、永田鉄山陸軍少将が皇道派の相沢三郎中佐に軍務局長室で斬殺された事件である。 陸軍内部に二つの勢力があり、そのポスト争いは平時に軍人同士が殺し合うほど深刻なものだったというのは冷静に考えるとかなり異常なことである。 ふつうの組織でも、派閥はあるし、ポスト争いもある。 でも、人は殺さない。 軍内部の人事異動(直接には真崎甚

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    spoichi 2013/01/30
    生まれに関わらず権力へのショートカットが狙えた陸軍。今なら地方首長ってとこでしょうか。当選回数が物を言う国政ではそうは行かないけど、新党ブームと小選挙区制をうまく利用すればあるいは。
  • 就活についてのインタビュー - 内田樹の研究室

    朝日新聞デジタルというところからインタビューを受けた。 お題は「就活」。 「就活なんか、するな。卒業するまでは大学生として大学での活動に全力を尽くし、卒業してから、その先のことは考えなさい」というのが私の年来の主張である。 今していることをおざなりにして「ここではない場所で、あなたではない他の人たちとする仕事」に前のめりになっているような人間をあなたは重用する気になるか。 私はならない。 そんな人間はどこにいっても使い物にならないということを経験的に知っているからである。 でも、同意してくれる人はきわめて少ない。 マスメディア上では「ゼロ」である。 珍しく朝日新聞(ただしWEB版)からこの件でお座敷がかかった。 でも、それは「息子が内田樹の書いたものを読んで『就活をやめる』と言い出したので、ちょっと腹を立てた母親」がインタビュアーという、ちょっと不思議な趣向のものであった。 インタビュアー

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    spoichi 2013/01/12
    「呼ばれる」仕事を繰り返しながら一定の地位を築くのって、就活するよりもよほど大変ですよ。
  • 『菊と刀』と領土意識について (内田樹の研究室)

    寺子屋ゼミで『菊と刀』についての報告を聞いて、ディスカッション。 もうずいぶん久しく手にとっていないけれど、引用箇所を読み返すと、ほんとうによくできたである。 ツイッターにも書いたけれど、ルース・ベネディクトはこの文化人類学的研究を文献と日系市民からの聞き取り調査だけでなしとげた。研究の依頼主はアメリカ国務省戦時情報局海外情報部。 戦争に勝つためにアメリカには敵国戦争指導部の意思決定プロセスを知る必要があったし、さらに進んで戦勝後の日占領のために日人の考え方・感じ方をしっかり把握しておく必要があった。 同じ種類の仕事を大日帝国の戦争指導部が行っていたのかどうか。 していなければならないはずである。 だが、外務省の外交史料館や防衛研究所のアーカイブを見ないとわからないけれど、たぶんないと思う。 それがないというのは、はじめから「戦争に勝つ気がなかった」ということである。 だから負けた

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    spoichi 2012/11/29
    将棋にしろ武道にしろ「取らせて取る」という考え方はあるはずなのにソロモン群島の端っこの島に大軍を送り込んじゃったりとか。
  • 人々が「立ち去る」職場について - 内田樹の研究室

    大阪府教委は23日、来春採用の府内の公立学校教員採用試験で、平均倍率が4倍で史上2番目の低さだったと発表した。 中学理科では倍率が2倍を切り、府教委は「水準に達する人材が確保できなかった」と異例の追加募集を行う。 大阪維新の会の主導で厳しい教員評価などが盛り込まれた条例の施行後、初の採用試験。大阪府では橋下前知事時代から給与カットが続き、小中学校教員の平均基給が全国平均より月約2万8千円低いことも響いた可能性がある。(朝日新聞、10月24日) 記事によると、中学理科の倍率は大阪が1.9倍、京都は3.85倍、兵庫は3.1倍。東京は(中高共通枠なので単純に比較はできないが)5.44倍。 条例施行によって、大阪府の教員応募者が激減することは当然予測されていたはずである。 絶えざる査定と格付け圧力にさらされ、保護者からのクレームに対して行政は原則として「保護者の側に立つ」と公言している就業環境で

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    spoichi 2012/10/24
    メシウマ民主主義の行き着く先。
  • 領土問題は終わらない - 内田樹の研究室

    韓国大統領の竹島上陸と尖閣への香港の活動家の上陸で、メディアが騒然としている。 私のところにも続けて三社から取材と寄稿依頼が来た。 寄稿依頼は文藝春秋で、この問題について400~800字のコメントを、というものだった。 そのような短い字数で外交問題について正確な分析や見通しが語られるはずがないのでお断りした。 日米安保条約について、あるいは北方領土問題について400字以内で意見を述べることが「できる」というふうに文藝春秋の編集者が信じているとしたら、彼らは「あまりにテレビを見過ぎてきた」と言うほかない。 400字というのは読み上げるとちょうど1分である。ワイドショーのコメンテイターが独占的に使用することのできるぎりぎりの時間である。ということは、「あなたの領土問題についての意見を2分以内で述べて下さい」という申し出をしてきたということである。 街頭インタビューの場合なんかは「10秒以内でお

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    spoichi 2012/08/22
    中華帝国は地続きの周縁に対しては頻繁に懲罰出兵してきた。軍事技術と海底資源掘削技術の進歩により、海洋の軍事障壁としての機能が低下し、海洋自体が争奪戦の舞台となった時代に周縁論に依拠しすぎるのは危険。
  • 大飯原発再稼働について - 内田樹の研究室

    野田首相が大飯原発の再稼働に向かう決意表明を行った。 首相は記者会見で「原発を止めたままでは、日の社会は立ちゆかない。原発は重要な電源だ」とし、「国民の生活を守るため再稼働すべきだというのが私の判断だ」と断言した。 その根拠として、首相は政府が一年以上かけて安全対策を講じたことを挙げて、「原発の安全性は実質的に確保された」とした。 首相が「国民の生活」と言うのは、長期的には電力料金の値上がりによるコストの上昇、それによる製造業の国際競争力の劣化、それによる生産拠点の海外移転、それによる産業の空洞化、それによる雇用の喪失というスパイラルのことであり、短期的には「突発的な停電が起これば、命の危険にさらされる人もいる」という生命リスクのことである。 橋下徹大阪市長も、再稼働反対を撤回した根拠として、「病院はどうなるのか、高齢者の熱中症対策はできるのか。そう考えると、原発事故の危険性より、目の前

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    spoichi 2012/06/11
    今の時代、「あと○年(あと○期)保てばいいや」という逃げ切り思考が露骨よね。老人にとってはこの先いつ起きるか分からない次の原発事故より、猛暑の中でエアコンが使えないほうが脅威でしょう。
  • 人災の構図と「荒天型」の人間について - 内田樹の研究室

    「東日大震災における天災と人災」というお題で日赤十字看護学会というところで講演をすることになった。 抄録の提出を求められたので、次のようなことを書いた。 「いつもの話」ではあるけれど、番では「いつもの話」じゃないことを話すので、ご容赦ください。 東日大震災から1年を経過して、これが「天災」であるより以上に「人災」であるという印象を私たちは抱いている。 「天災」は自然現象であり、私たちにはそれを防ぐ力がない。「人災」は人間の力で統御できるし、しなければならない災禍である。 その災禍の広がりを防げなかった。 「人災」を用意したのは私たちの社会を深く蝕んでいる「無根拠な楽観」である。「晴天型の世界観」と言ってもよい。 私たちはある「枠組み」の中で「ゲーム」をしている。賭けられているものは権力とか財貨とか文化とか、いずれにせよ「価値あるもの」である。そのやりとりのゲーム、誰かが勝てば誰

  • 格差と若者の非活動性について - 内田樹の研究室

    ある媒体から若者の労働観についてアンケートを受けた。 みじかい回答を期待していたはずだが、やたら長くなってしまったので、たぶんこのままでは掲載されないだろう。 自分としてはたいせつなことを書いたつもりなので、ここに転載して、諸賢のご叱正を乞うのである。 Q1.現在、世界では、経済格差(世代間格差ではなく、金持ちとそうではない人との格差)や社会への不満に対して、多くの若者たちが声を上げ、デモを起こし、自分たちの意見を社会に訴えようと行動しています。翻って日ではここ数十年、目に見える形での若者の社会的行動はほとんど見られません。これだけ若者たちにしわ寄せが行く社会になっているのに、そして政策的にも若年層に不利な方向で進んでいるのに、若者たちはなぜ、社会に対して何かを訴えたり行動したりしないのでしょうか? それは特に不満を感じていないからなのか、それともそうした行動に対して冷めているのか。ある

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    spoichi 2011/10/18
    努力の果てに成り上がった「改革派」首長が、自称弱者に対して酷薄な理由。
  • 教育基本条例について - 内田樹の研究室

    大阪維新の会が教育条例の素案をまとめた。 知事・市長による教育目標の設定や教育委員の罷免権など、教育委員会に対する政治主導を明記したほか、校長による教職員への権限強化など組織管理の徹底も打ち出している。 その趣旨は基条例の冒頭に示されている。 「教育行政からあまりに政治が遠ざけられ、教育に民意が十分に反映されてこなかったという不均衡な役割分担を改善し、政治が適切に教育行政における役割を果たし、民の力が確実に教育行政に及ばなければならない」。 教育の独立性についても、従来の教育現場からは違和感のある理解が示されている。 「教育政治的中立性や教育委員会の独立性という概念は、従来、教育行政に政治は一切関与できないかのように認識され、その結果、教員組織と教育行政は聖域扱いされがちであった。しかし、教育政治的中立性とは、来、教育法(平成18年法律第120号)第14条に規定されていると

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    spoichi 2011/08/23
    結構なコトじゃないですか。蓑田胸喜とか尾崎秀実みたいなヤツをたーくさん製造するんでしょ?
  • 浜岡原発停止について - 内田樹の研究室

    MBSの「辺境ラジオ」も今回で4回目。 不定期収録、収録時間毎回違う、放送時間毎回違うという、いかにもラジオ的にカジュアルな番組である。 精神科医名越康文先生、MBSの西靖アナウンサーと僕の三人のthree-man talk をガラス窓の向こうから伊佐治プロデューサーが顔を赤くしたり青くしたりしながら見ているという四人組ベース。 今回は「震災」テーマでのトークである。 菅首相が浜岡原発の停止を要請したが、それについての評価から話が始まった。 名越先生も私も、これは官僚や電力会社への根回しが十分にされた上での結論ではなく、総理のトップダウンでの「私案」に近いのではないかという意見だった。 浜岡原発の運転の可否についての議論はもちろん専門的な機関で行っているのだろうが、結論はわかっている。 「安全性に問題はない」である。 でも、東海大地震が起きて、放射性物質が漏出するような事態になったら、政府

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    spoichi 2011/05/08
    だから彼らは宗教であって、カルトなんだよ。
  • 外交について - 内田樹の研究室

    尖閣列島近海での巡視船と中国漁船の衝突事件をめぐって、日中の外交関係が緊張している。 外交関係の要諦は「自国の国益を守る」という目標をできるかぎり遠く、広い射程でとらえることである。 日の場合の「国益」と中国の場合の「国益」理解は深度も射程もずいぶん違う。 そのことを勘案せずに、「同じようなことを考えている」二国が綱の引き合いをしていると考えると、外交交渉は行き詰まる。 日中国はこの問題についていくつか「違うこと」を考えている。 それは、言い換えると中国の「国益」と日の「国益」がゼロサム的な関係ではないレベルが存在するということである。 そこに指をかけて、こじあけるしか外交上のデッドロックを解決する方途はない。 日中国の国情の最大の違いは、中国の統治形態が日に比べるときわめて不安定だということである。 『街場の中国論』にも書いたことだが、中国の為政者は外交上の失敗によって、「

  • 従者の復讐 - 内田樹の研究室

    取材で鳩山政権の迷走について訊かれる。 どうして日政府はアメリカに対して毅然とした態度が取れないのかというお訊ねである。 メディアは単純に「それは総理が無能だから」という属人的な説明でケリをつけようとしている。 もちろん統治者の資質が外交の成否に深く関与するのは事実である。 だが、現在の日のメディアの、すべての政治的できごとの成否を属人的な能力によって説明するスキームの定型性に私はいい加減うんざりしている。 たしかに、外交がうまくいっていないという事実に為政者の個人的能力はふかく関与している。 けれども、それが「外交の失敗のすべての理由である」としてそれ以上の吟味を放棄するのは、思考停止に等しい。 歴代の統治者たちが組織的にある外交に失敗するとしたら、それは属人的な要素によっては説明できない構造的な問題があるのではないか、と考えるのが科学的な考え方である。 日のジャーナリストには、こ

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    spoichi 2010/04/10
    「そうなのじゃ。実はアメリカの力を削ぐためにあえて無能なフリをして踊っておったのじゃ。」「ウソつけ本気だったろうが!」
  • ゾンビの教訓 - 内田樹の研究室

    新型インフルエンザについて三紙からコメントを求められる。 私なんかにインフルエンザについて訊いてどうするのかと思うのだが、感染地域の真ん中に住んでいる人間の「市民目線」の感想を聞きたいと思ったのかも知れない(木によって魚を求むるの類だが)。 疫学についても医学についても何も知らない人間に訊く以上、それはインフルエンザそのものについてではなく、インフルエンザ禍の「人間的意味」についてのコメントなのであろうと判断して、それについて述べる。 メディアの一昨日あたりからの論調は「それほど毒性の強いインフルエンザでもないらしいのだから、あまり騒ぎ立てずに、柔軟に対応するほうがいい」というものである。 休校やイベントの中止が続くと市民生活に影響が出るから、「自粛するのを自粛せよ」というものである。 大阪府知事は「都市機能に影響が出る」と言った。 だが、感染地区がパニックに陥っているとか、都市機能が麻痺

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    spoichi 2009/05/22
    まさかのアナコンダ登場。
  • 憲法記念日に思うこと - 内田樹の研究室

    憲法記念日である。 安倍晋三内閣のころ、改憲運動が急であったが、リーマンショック以後の「100 年に一度の危機」で、「そんな悠長な話をしているときではない」ということらしい。 それでよろしいのではないかと私は思う。 今日明日の米櫃の心配をしているときに、人間はリアリストにならざるを得ない。 戦争のとき、いちばんイデオロギー的でないのは前線の兵士だと司馬遼太郎が書いていた。 軍人というのは合理的でなければつとまらないからである。 「どの国の軍隊も、兵士が思想家であることは望まないのである。激越な国家思想をもつ兵士よりも、機械のように命令な忠実な兵を望む。(…) 私どもは初年兵を経て非正規将校の養成機関に入れられたのだが、仲間のだれをみても、極端な右翼思想のもちぬしなどはいなかった。 軍人は、当然死ぬ。とくに下級指揮官は戦場の消耗品であらねばならない。そのことの覚悟は軍隊教育の過程のなかでごく

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    spoichi 2009/05/03
    「戦争が起こるにしても主戦場はどうせ海外」って思い込んでる人が多そう。
  • 大学はどうなるのか - 内田樹の研究室

    バリ島から帰ってきてそのまま会議。 ほんとうは午前中にも会議があり、それにも出席しなければならなかったのであるが、その頃はまだ家にたどりついていなかったのでご無礼。 30分ほど前に教務部長のデスクにつくや、教務課長が「ちょっとご相談が・・・」とおいでになっていろいろ相談ごと。 むむむ、それは困ったことですな。 ま、ナントカしましょう。 その後学長を囲んでややコンフィデンシャルな会議。 むむむ、それは困ったことですな。 ま、ナントカなるでしょう。 その後合否判定教授会。 一般入試の志願者数は全学平均で前年比98%(総合文化学科は前年比103%)。 「100年に一度」の経済危機で、志願者が志望校の絞り込みに入っている今年は、私学はどこも軒並み志願者数を下げて、苦戦している。 新学部新学科は「ご祝儀」で、初年度には必ず志願者が殺到するのだが、それもうまくゆかない大学が多い。 受験生たちも「こうや

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    spoichi 2009/02/09
    少子化で過当競争・高コストで人件費が絞られている。さらに「経営」幹部が素人(元地方公務員とか)なのも問題。