福山城天守閣にある福山城博物館(福山市丸之内1丁目)には空調がない。天守閣の窓の大半は展示品を日光から守るため板でふさがれている。記録的猛暑となったこの夏の館内は「まるで蒸し風呂」。足早に立ち去る観光客もおり、8月の入場者数は昨年同月より約1割減った。空調設置を求める声が上がるが、国の史跡内でもあり、設置には様々なハードルがあるという。 曇りがちな天気にもかかわらず、最高気温が35.3度の猛暑日となった7日午後、千葉県の男性会社員(39)と妻(35)が、ハンカチで顔の汗を懸命にふきながら博物館の玄関から出てきた。 「下の階ではじっくり展示品を眺めていたが、上の階へ上がるに連れて体がバテていった。扇風機も回っていたが、焼け石に水。こんなに暑いお城は初めて」。各地の城を巡っているという夫婦は疲れた顔で苦笑いした。 福山城の天守閣は終戦間際の福山空襲で焼失。1966年に再建され、鉄筋コンクリート