ひっそりと開催される大規模な戦争画展竹橋の東京国立近代美術館で、10月26日まで開催されている「コレクションを中心とした特集 記録をひらく 記憶をつむぐ」展は、異例の展覧会である。戦後80年という節目の年に、同館収蔵の戦争記録画153点のうち24点を中心とした大規模な企画展でありながら、プレスリリースもチラシもポスターも内覧会もない。まるで「密かに」開催されているかのような状況に、美術界の関係者のみならず、鑑賞者からは戸惑いの声が上がっている。 同時開催のコレクション展とは対照的に、本展には積極的な広報が行われていない。メインヴィジュアルには松本竣介の《並木道》(1943)が使用されているが、このイメージだけでは「戦争画」を扱う展覧会だと判断することは困難だろう。編集部が開幕翌日に本展を訪れた際、外国人観光客を含む鑑賞者の多くが、タイトルから想像できない展示内容に困惑していたようにも見えた

