1年間に支払うNHK受信料は1世帯当たり年間約2万6000円(衛星契約)、総額は7115億円(2019年度)に上る。新型コロナウイルスの影響で、収入が減る人も多い中、NHK職員の年収は平均1095万円だという。果たして受信料の金額や職員の待遇は適正なのだろうか。 私は昨夏、記者・デスクとして23年間にわたって勤めたNHKを退職した。日本全体がコロナ禍に喘ぐ中、私が見たNHKの実態を伝えることでNHKのあり方に関心を持ってもらうことも私の役目ではないかと考え、文章にまとめた。NHK改革をめぐる議論に一石を投じる形となればありがたいと思う。 最初の違和感は“タクシーの公私混同” 私がNHKに入局したのは1997年。ある大手新聞社を32歳で退職し、新潟放送局に着任した。当時の記者仲間は総じて温かく迎えてくれたが、入局直後に違和感を覚える出来事に直面した。 ある日の正午のニュース放送直後、フロアに