テレビの黎明期から日本の広告にかかわってきた電通OBが指摘する、業界の課題とは。 --広告が効かない世の中になったと言われますが、その原因は? 人々の欲望が変わってきたのが最大の要因です。昔は物質的な充足が幸せや豊かさにつながっていた。広告もまたその幸せの中にいた。でもモノがあふれ技術が進み世界が均一化してくると「特別なもの」はなくなっていく。加えて、日本独自の問題もある。一言でいえば、電通と博報堂が作ってきた業界のルールが自壊しかかっているということです。 たとえばテレビCMのほとんどは15秒スポットですが、別に消費者が15秒のCMを求めているわけではない。すべてはメディアの枠を効率的に売りたい代理店と商品を流通に押し込みたい広告主の都合です。 代理店は「広告効果を測るのは難しい」と言い続けてきた。しかし、海外なら広告が売り上げにどう影響したか、メッセージがきちんと伝わったか、当然効果を