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ブックマーク / tomio.hatenablog.com (2)

  • 登美彦氏、かぐや姫を迎える。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    竹林はざわざわと揺れ続けている。 締切次郎は、登美彦氏のズボンの裾を引っ張っている。 「お願いします!『太郎』は、マジでやばい」 「ええい、かまわぬ。知ったことか!」 「太郎が来たら、それこそ何もかも、容赦なく締め切られてしまうのですよ。僕なんざあ、かなわねえ」 「じょうとうだ。太郎を呼び出して、おまえを蹴散らしてやる」 「分かんない人ですね!」 竹を切る腕におぼえあり。 登美彦氏はギコギコやりだした。 竹から発する橙色の光の中で、細かい切り屑がふわふわと舞った。 半ばまで切ったところで、どこからか「人生の柱時計」が時を告げる音が聞こえた。 ぼーんぼーんぼーんぼーん… えんえんと響いて鳴りやまず、ついに三十回を数えた。 「おや!」 登美彦氏は手を止めた。 「どうやら俺は三十路に入ったらしいぞ」 「これであなたも青春を失った」 「なんのこれしき、まだまだ!」 登美彦氏はさらにノコギリを動かす

    登美彦氏、かぐや姫を迎える。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    sskr31
    sskr31 2009/01/07
  • 登美彦氏、愛娘と一緒に新年を迎える。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    登美彦氏は正月を愛娘と一緒にぐうたらして過ごした。 「お父様、明けましておめでとうございます。ぺこり」 「うむ、おめでとう。しかし、おまえ、ずいぶん小さくなったのう」 「あい。こんなにも小粒に。まるでひよこ豆といっても過言ではないのです」 「そんなに小さくはないだろう。豆に書いた小説は読めない」 「あいすいません。過言でございました。ぺこり」 「『ぺこり』は擬音であって、発音する必要はないのだ」 「あい」 「そんなに小さくなったのなら、どこにでももぐりこめるな!」 「むろんです。日全国津々浦々へずんずんと!」 「その心意気やよし!ともあれ、表紙を描いてくださった中村さんに感謝だ」 「ぺこり」 「そして『解説にかえて』を描いてくださった羽海野チカさんにも感謝だ」 「ぺこり」 「羽海野さんには唐突にお願いしてしまって、申し訳なかったなあ」 「お父様はなんでも急なのですから。思い立ったが吉日な

    登美彦氏、愛娘と一緒に新年を迎える。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    sskr31
    sskr31 2009/01/04
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