非常に多い知的障害を持つ受刑者 本書序章から、読者は驚愕の事実を突きつけられる。2006年1月のJR下関駅放火事件。犯人の74歳の男が逮捕されたところでマスメディアの報道は途絶えたが、実は彼は「知能指数66、精神遅滞あり」と鑑定された軽度の知的障害者で、しかも刑務所から出所したばかりだった。「食事にありつける刑務所に戻りたかった」と、彼は供述した。 「私の経験からすると、軽度の知的障害者というのは、人から言われれば身の回りのことはある程度こなせる。しかし、自分で考え、自分で進んで取りかかるということはなかなかできない。ものごとの善し悪しも、どれほど理解しているか分からない。 そんな彼ら彼女らでも、罪を犯せば、その責任を問われ、結果的に刑務所に入ることもある」(本書p.12) このように指摘した著者は、法務省の「矯正統計年報」に記載された驚きの統計を提示する。2004年度の新受