2012/12/712:7 団地から考える 原武史×速水健朗 原武史氏、速水健朗氏 ■なぜ、この本を書いたか 速水 最初に、なぜ、『団地の空間政治学』を書いたかということからはじめましょうか。今回の本で、団地に関しては、『滝山コミューン一九七四』(講談社)があって、重松清さんとの対談『団地の時代』(新潮社)がありますから、これで三冊目ですね。この『団地の空間政治学』が一番、団地の通史というか、団地を主題にしているのかなと思ったんですが。 原 そうですね。『レッドアローとスターハウス』(新潮社)は、鉄道が半分くらい入っています。『空間政治学』が割と純粋に団地だけをテーマにした本です。しかも、東西の大団地を五つくらい集中的にとりあげ、あと若干、高島平とか、多摩ニュータウンとか、千里ニュータウンとか、七〇年代以降につくられたような団地についても触れています。けれども、この本で主に対象としたのは五