・新型コロナウイルス感染症禍(以下、「新型コロナ感染禍」)の社会心理について「回顧」という観点から考察した ・新型コロナ感染禍に接した直後(2020年1月)の心理を1年後に回顧させると、過小評価する傾向が顕著に見られた ・長期的かつ変化が大きい出来事について「あの頃は確かこうだったはず」という回顧にもとづく意思決定を行うべきではない 大阪大学大学院人間科学研究科の山縣芽生さん(博士後期課程3年)、三浦麻子教授らの研究グループは、新型コロナ感染禍が社会心理におよぼしてきた影響を、回顧バイアスの観点から読み解くことを試みました。 過去の出来事はしばしば歪められ、実際の経験と回顧したそれとの間にはギャップが生じます。この心理現象が「回顧バイアス」で、人間がつい犯してしまいがちな思考や判断の偏り(認知バイアス)のひとつです。本研究では、新型コロナ感染禍という深刻なリスク下での回顧バイアスの特徴を分