新聞記者の仕事は実労働時間の把握が難しい。このため、新聞社の多くは、実際に働いた時間とは関係なく、取材・執筆など記者業務に要する時間を働いたものとみなして賃金を支払う「みなし労働時間制」を採用している。 政治部の働き方を例にとると、大半の記者は政治家に「番記者」として張り付いているから、あらかじめ実労働時間を決めることは不可能に近い。このような仕事に対し、労働基準法は一定の要件のもとに「みなし労働時間制」を認めているのである。 新聞記者の給料が高かったのは「みなし労働時間制」によるものだ。私は27年間の朝日新聞社勤務で記者職を外れ、みなし労働時間制の適用外になったことがあるが、その際に月給がガクンと落ちて驚いた。 もちろん、みなし労働時間制だからといって、無制限に働いてもよいわけではない。会社は労働時間を適正に管理しなければならない。 そこで朝日新聞社は、各記者に毎日の勤務開始時間と勤務終