肥料の使用や化学物質の製造過程で出る「亜酸化窒素(N2O)」が、現時点でオゾン層を最も破壊する物質であることを、米海洋大気局の研究チームが突き止め、28日付の米科学誌「サイエンス」で発表した。N2Oは温室効果ガスとして先進国に排出規制が課せられているが、オゾン層保護の規制対象ではない。研究チームは「排出制限はオゾン層保護と温暖化抑制の両方に有益」と、厳しい規制を求めている。 オゾン層は、生物に有害な太陽の紫外線から地球を守っている。かつてフロンやハロンがオゾン層を破壊することが分かり、「モントリオール議定書」(87年採択)で規制が進んだ。一方、N2Oは規制対象外だ。 研究チームは、フロンや四塩化炭素など9物質について、排出量を基にオゾン層への影響を比較した。その結果、87年はフロンの一種「CFC−12」が最も高かったが、08年にはN2Oが最大となり、影響は2位の物質の2倍以上だった。チ