初音ミクという名前は日本語で「未来の音」を意味している。彼女は2011年7月2日にLAのノキアシアターで米国デビューを飾った。5000人以上の観客を前に公演したのだ。コンサートが始まると、暗闇の中で青や緑のサイリウムが強烈なビートに合わせて揺れ、赤いストロボライトがステージをかすめる。それら全てを飛び越えるように、リズミカルで少女チックな声が響いた。「MIKU DESU」―そう、「私は未来です」と。ステージ上にはギター、エレキベース、ピアノ、ドラム、バイオリン(5人)、そしてアップライトべ―ス、合わせて10人の演奏者がストロボの光の中で汗を流している。 3分程は不安を感じていたが、それもスピーカーから遂に降り注いだミクの歌声にかき消された。少数だが日本語を話している人も交じる観衆は彼らのアイドルの最大のヒット曲の出だしの部分を一緒に口ずさんでいる。「世界で一番お姫様」―あながち間違いでは