花の咲きほこる庭や銘板のついたベンチから五、六メートルほど先で、すべてががらりと変わってしまう。そこには巨大な金網のフェンスがあった。家と平行に張りめぐらされたフェンスのてっぺんはむこう側にむかって折れていて、目の届くかぎり左右へつづいている。家の屋根よりも高いほどのフェンスで、電信柱のように太くて高い木の柱が点々とあってささえている。フェンスのてっぺんには、ごちゃごちゃとからまりあった有刺鉄線が山のように積まれていて、グレーテルは見ているだけで体中に鋭いとげがささるような痛みを感じた。 ジョン・ボインの『縞模様のパジャマの少年』と『ヒトラーと暮らした少年』を読みました。 先に読んだのは『ヒトラーと暮らした少年』ですが、第二次世界大戦下のナチス政権を描いた連作なので(話の内容はまったく別ですが)、発表順にあわせて『縞模様のパジャマの少年』から感想を書いていきます。 縞模様のパジャマの少年
![ナチス政権内部の少年たちを描いた、ジョン・ボイン『縞模様のパジャマの少年』(千葉茂樹 訳)『ヒトラーと暮らした少年』(原田勝 訳) - 快適読書生活](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/8666fd7d5cdfe4b533a8a7beaf239ab20066bf0f/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fimages-fe.ssl-images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F41gGmFj9AoL._SL160_.jpg)