新聞社に勤めながら、個人で取材活動を続けるジャーナリスト・青木美希さんが、ライフワークとして取り組んできた原子力発電所の問題。関係者を訪ね歩き、過去の文献や報道も徹底検証してまとめた『なぜ日本は原発を止(や)められないのか』(文春新書)が反響を呼んでいる。 東日本大震災で起きた福島第一原発事故を契機にドイツやイタリアが「脱原発」に舵を切る一方、依然として地震リスク、津波リスクの高い立地に数多くの原発を抱えている日本は、稼働中原発の使用年数を実質的に延ばす法改正など「原発回帰路線」を推し進めている。 あのような未曾有の災害、悲劇を経てもなぜ、この国で原発はかくも優遇されるのかーー。 父も祖父も、電力関係の仕事をしていた。子供のころから関心があった ーー青木さんはこの作品について、「はじめに」で「私が記者として勤めてきた3つの報道機関の社益を離れ、30年かけて一人の人間として聞き歩いてきた、そ