―学術研究が厳しい状況にあります。 「もともと科学と実用性は独立した価値がある。まず科学が自然の法則を明らかにし、その一端がビジネスや社会に応用されていく。科学から応用への体系そのものをしっかりとしたものにしないと、応用も生まれない。応用にとらわれすぎれば、長期的にはマイナスに働く」 ―長期的とは何年を考えればいいですか。 「アインシュタインの相対性理論は発表から約100年たった現代、全地球測位システム(GPS)に不可欠な理論になった。生命科学は基礎的な発見が薬になるまで十数年、情報理論は数年など、分野によってさまざまだ。期間より、分野ごとに科学と応用が有機的につながっているのかや、体系全体が細っていないかチェックすべきだ。『基礎か応用か』と声の大きさで決めていてはうまくいかない。科学技術政策には哲学が要る」 ―ノーベル賞を受賞してから基礎科学の振興を唱えてきました。 「国は科学技術立国を