今年一番どころか、人生ベスト10に入る一冊。 「人は、どのように世界を理解しているのか」について、納得のゆく結論が得られる。"理解"を理解することができ、メタ的な知見が手に入る。知覚とは、経験のフィードバックループで構築されたパターンを通じて世界を追認識する行為だと考えていた。だが、まさか"理解"そのものも同じ仕様であるとは思わなかった。ヴィトゲンシュタインからピンカーまで、これまで読んできた名著のみならず、わたし自身の体験と照応し、腑に落ちる。本書を読むことそのものが、驚きと興奮に満ちた知的冒険となった。 その仕様こそが、レトリック(原題ではメタファー/隠喩)だ。人は、メタファーを通じて世界を理解している、というのが本書の主旨になる。メタファーは、単なる言葉の綾ではなく、認知や思考が基づいている概念体系の本質を成している、"理解"の器官なのだ。 たとえば、「時間」という概念。24時間とか
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