直木賞作家・西加奈子さん初のノンフィクション『くもをさがす』。鮮やかな黄色のカバーを外した表紙には、両親と子どもであろうイラストや「I LOVE MAMA」「MAMA」「YOU」と書きたかったであろう「VOU」といったメッセージが描かれている。 これは、西さんのお子さんが書いたものを表紙にしたものだという。 がんをはじめとして、「誰かの世話」に従事している人が病気になったとき、病気になった本人が罪悪感を抱いてしまうことがあるという。なによりも自分の治療に優先していいはずなのに、「子どもの世話ができない」「家事ができない」と感じてしまう。そんなときどうしたらいいのか。周囲はいったい何ができるのか。 作家の西加奈子さんは、2019年から家族で滞在していたカナダで、2021年の夏に「トリプルネガティブ乳がん」という診断を受けた。初のノンフィクション『くもをさがす』には、その治療の過程や(コロナの
作家の西加奈子さんが初のノンフィクションとして上梓した『くもをさがす』は、家族でカナダ滞在中にトリプルネガティブ乳がんだと見つかり、その治療をする中での生活を描いた一冊だ。 カナダで、がんになった。 あなたに、これを よんでほしいと思った。 すでに20万部を超えた本書の初版帯には、こんな風に書かれている。ここに書かれた「あなた」は、今を生きるすべての人だ。西さんの闘病記ではなく、病気の治療を経て感じた「幸せとは何か」を伝えるメッセージだからだ。 FRaUwebでは、西さんにロングインタビュー。1回目は乳がんを告知され、抗ガン治療中にコロナ陽性にもなった西さんがこの本を執筆した経緯を伺った。2回目は乳房全摘手術を前に考えた「自分の身体」への意識の変化をお伝えしている。そして第3回は、カナダで治療を受けてわかった日本の医療との違い、そしてカナダで治療したからこそ得たものを伺っていく。 実際、『
「アピアランスケア」という言葉がある。その名の通り「アピアランス(外見)」をケアすること。がんをはじめとする病気の治療では、往々にして髪の毛が抜けたりむくんだりといった「容姿の変化」が起こる。その変化に悩む人は少なくない。 国立がん研究センターのがん統計(2022年更新)によると、日本では2人に1人ががんになると言われている中でも、女性のがんは乳がんが1位だ。アピアランスケア。「髪の毛が抜ける」ことに加え、「乳房の摘出」についての悩みも多い。シリコンなどでの豊胸手術もなされるが、そこには新たなる手術が加えられることにもなる。 直木賞作家の西加奈子さんは、先日初のノンフィクション『くもをさがす』を刊行した。そこには2019年から家族で滞在していたカナダでトリプルネガティブ乳がんだとわかったことが赤裸々に綴られている。発売前に10万部を超え、大きな話題を呼んでいる。 本書が多くの人の心をとらえ
「カナダで、がんになった。 あなたに、これを読んでほしいと思った」 直木賞を受賞作『サラバ!』を始め、『ふくわらい』『夜があける』『さくら』など私たちに現実の世界を、多くの感情と共にまっすぐに届けてくれる作家・西加奈子さん。西さんの初めてのノンフィクション作品『くもをさがす』の初版帯には、冒頭のような言葉が描かれている。 そう、この作品は西さん自身が乳がんとなった体験を綴った一冊なのだ。 日本にずっと生まれ育った人にとって、海外での生活は思い通りに行かないことが多くて当然だ。では語学留学としてカナダに滞在している時、自分の身体が思うようにいかなかくなったら……。 しかし本作は、病気の経緯を綴った「闘病記」とは言い切れない。西さんが日本を離れて病気になったからこそ綴られた言葉からは、「幸せとは何か」「生きるとはなにか」「愛とはなにか」を考えさせてくれるヒントがたくさんちりばめられているのだ。
「カナダでがんになった」 4月中旬に発売されたばかりの直木賞作家・西加奈子さんの新刊『くもをさがす』の帯に書かれた、言葉が目をひく。 今作で西さんは、2019年秋から語学留学のためカナダ・バンクーバーに家族で移住し、現地で「乳がん」と宣告されたことを明かした。 『くもをさがす』は日記をもとにして、自身の経験を構成した初のノンフィクション作品。 コロナの影響もあってカナダでがん治療を受けることを決めた西さんが、自身の抗がん剤治療の激しい副作用や両乳房を切除した手術、そして家族との生活を詳細に記録している。 厚生労働省によると、女性の乳がんは40代後半で発症のピークを迎え、女性が生涯で乳がんに罹患する確率は9人に1人。病とどう向きあっていくかは、働く世代にとっても決して他人事ではない。 西さんはなぜ、ノンフィクションという形でがんを公表したのか? 直木賞作家であり、日本を代表する人気作家である
圷歩(あくつ・あゆむ)とともに、自分の人生を取り戻す旅に出た『サラバ!』、不器用でも真っ直ぐな愛に揺さぶられた『漁港の肉子ちゃん』……。 2004年のデビュー以来、読者を励ますような小説を発表し続けてきた西加奈子さん。 デビュー10周年で発表した『サラバ!』は直木賞を受賞し、西さんは名実共に日本を代表する作家となりました。 そして直木賞から約10年後、2023年4月に発表した新刊『くもをさがす』では自身のがんを告白。当時住んでいたカナダでの過酷ながん治療の日々を綴ったノンフィクションとなりました。 治療のため両乳房を切除し、再発リスクを抱えながら生きることになった45歳の人気作家はいま、何を思うのでしょうか?(聞き手・横山耕太郎) 西加奈子:1977年、イラン・テヘラン生まれ。エジプト・カイロ、大阪で育つ。2004年に『あおい』でデビュー。2015年、『サラバ!』で直木賞受賞。2019年1
直木賞受賞作『サラバ!』をはじめ『さくら』『i』『夜が明ける』などで知られる作家の西加奈子さん。新刊『くもをさがす』(河出書房新社)は2021年のコロナ禍、滞在先のカナダで乳がんを宣告されてからの約8カ月間を克明に描いた初のノンフィクション作品だ。 音楽活動を経て現在は作家・作詞家としてエッセイ、小説、絵本、歌詞などさまざまなジャンルで文章を紡ぐ高橋久美子さんは本書をどう読んだのか。 高橋久美子・評「私の中のくもをさがす」 西さん初のノンフィクションと聞いて、カナダでの新生活を綴ったエッセイとは少し様子が違うのかもしれないと思った。届いたプルーフ(見本誌)の表紙を見て、えっ、と声が出てしまった。「カナダでがんになった」と書かれていたからだ。びっくりして、しばらく開くことができなかった。私の小説集に素晴らしい帯文を書いていただいたのは、2021年の春のことだった。そのとき何度かメールをさせて
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く